忍者ブログ
  • 2018.07
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2018.09
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2018/08/19 14:55 】 |
センター国語、小説
小説について。
小説って「小説らしい表現」から
登場人物のそのときの心情を読み取れ、
というのが多い気がします。

次の文章は太宰治の小説『母』の一部です。
(ここから
その会話に
って私は、男は帰還の航空兵である事、そうしてたったいま帰還して、昨夜この港町に着いて、彼の故郷はこの港町から三里ほど歩いて行かなければならぬ寒村であるから、ここで一休みして、夜が明けたらすぐに故郷の生家に向って出発するというプログラムになっているらしい事、二人は昨夜はじめて相逢ったばかりで、別段旧知の間柄でも無いらしく、互いに多少遠慮し合っている事などを知った。
「日本の宿屋は、いいなあ。」と男。
「どうして?」
「しずかですから。」
「でも、波の音が、うるさいでしょう?」
「波の音には、なれています。自分の生れた村では、もっともっと波の音が高く聞えます。」
「お父さん、お母さん、待っているでしょうね。」
「お父さんは、ないんです。死んだのです。」
「お母さんだけ?」
「そうです。」
「お母さんは、いくつ?」と軽くたずねた。
「三十八です。」
 私は暗闇の中で、ぱちりと眼をひらいてしまった。あの男が、はたち前後だとすると、その母のとしは、そりゃそうかも知れぬ、その
はずだ、不思議は無い、とは思ったものの、しかし、三十八は隣室の私にとっても、ショックであった。
「…………」
 とでも書かなければならぬように、果して女は黙ってしまった。はっと息を
んだ女の、そのかすかな気配が、闇をとおして隣室の私の呼吸にぴたりと合った感じがした。無理もない、あの女は三十八か、九であろう。
 三十八と聞いて、息を呑んだのは、女中と、それから隣室の好色の先生だけで、若い帰還兵は、なんにも気づかぬ。
「あなたは、さっき、指にやけどしたとか言っていたけど、どうですか、まだ、いたみますか。」と、のんきに尋ねる。
「いいえ。」
 私の気のせいか、それは、消え入るほどの力弱い声であった。
「やけどに、とてもよくきく薬を自分は持っているんだけどな。そのリュックサックの中にはいっているんです。塗ってあげましょうか。」
 女は何も答えない。
「電気をつけてもいいですか?」
 男は起き上りかけた様子だ。リュックサックから、そのやけどの薬を取り出そうと思っているらしい。
「いいのよ、寒いわ。眠りましょう。眠らないと、わるいわ。」
「一晩くらい眠らなくても、自分は平気なんです。」
「電気をつけちゃ、いや!」
 するどい語調であった。
 隣室の先生は、ひとりうなずく。電気を、つけてはいけない。聖母を、あかるみに引き出すな!
 男は、また蒲団にもぐり込んだ様子だ。そうして、しばらく、二人は黙っている。
 男は、やがて低く口笛を吹いた。戦争中にはやった少年航空兵の歌曲のようであった。
 女は、ぽつんと言った。
「あしたは、まっすぐに
うちへおかえりなさいね。」
「ええ、そのつもりです。」
「寄り道をしちゃだめよ。」
「寄り道しません。」
 私は、うとうとまどろんだ。
 眼がさめた時は、既に午前九時すぎで、隣室の若い客は出発してしまっていた。
(ここまで)



下線部、女が黙ってしまったのは何故か、と聞かれたら、
男の母親の年齢が自分と同じくらいだと知ってショックを受けたから
と言えると思います。
年齢の話を受けた後の反応ですし、後のほうで「電気をつけちゃ、いや」と
いう発言は主人公の「私」が言うとおり「聖母を明るみに引き出さないため」。
つまり、明るいところで男の母親とほぼ同年代である自分を見られたくないがため、
の女の発言であると考えられます。

しかもこの女は最初男に対して両親のことを聞いてくるなどして、
どちらかといえば男に対して他人の位置に自分を置いているのですが、
男の母親の年齢を聞いた後の女の発言「寄り道をしちゃだめよ」は、
他人というよりもどちらかと言えば自分を母親的なポジションに置いた上での
発言ととれます。

だからもし選択肢に「年齢的に女として魅力がないことにショックを受けた」
などとあったらそれはちょっと違うかなと思います。少し言いすぎかなと。
ただ、「ショックを受けた」のは間違いないと思うので、
「男の母親と自分の年齢が近いことにショックを受けた」
ぐらいが正解となるんじゃないかなーと思います。
引きすぎず、しかし主観が入り込みすぎない言い方です。

うーん、でももしこの作品が万が一次のセンターにでも出たらどうしよう。
この作品は短いので、登場人物の心情がはっきりと出てるのはこの部分くらい。
問題として出題されるとしたら十中八九この部分。
そのときは、私の意見は参考程度に留めておいて、がんばってください・・・

(この作品を取り上げたのは自分の好きな作品であることと、
それにこの作品のことをもっと知ってもらいたかったからです)

PR
【2010/11/20 20:47 】 | 再受験・合格まで | 有り難いご意見(2) | トラックバック(0)
<<学士はなんだかんだで目立つ | ホーム | センター国語、評論>>
有り難いご意見
始めまして。
医学部再受験組です。

後期から河合塾に入塾しようと考えています。
参考までに、どのクラスに入っておられたのか教えていただけるでしょうか?
医進のクラスでしょうか?
【2011/08/11 14:30】| | Krm #582962a89f [ 編集 ]


無題
はじめまして。

ちょっと記憶が確かではないですが、
「トップレベル医進アドバンス」
というような名前のクラスだったと思います。
【2011/08/11 15:29】| | mediyo #581f87009f [ 編集 ]


貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>